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井上尚弥 WBSSバンタム級優勝 試合後日会見

2019.11.8 大橋ボクシングジム 

(大橋会長)
昨日はすごい試合で嬉しく思っています。昨日は一睡もしていません。(笑)
寝付いたら電話がなったりで、嬉しい寝不足です。スポーツ新聞、一般紙でも一面に扱っていただき、尚弥とすごいことをやったんだなと実感しています。
一夜明けての心境、体調は?
(井上尚弥)
やっとこのトーナメントが終わったなという安心感と、眠くて私も一睡もできなかったですね。何ですかね、アドレナリンが出て寝られないというか、眠いけど気持ちいいですね。体調は普通に筋肉痛もありますが、頭をだいぶ打たれたので少し痛みはありますね。今までにない体の状態です。でも試合が終わって、むしろこの傷の痛みも心地良いですね。
初回は両者の探り合いで始まりましたが、ドネア選手の印象は?
(井上尚弥)
印象は想像していた通りでしたね。驚きもなく気持ちにも余裕がありました。最初ジャブでの探り合いから、左フックの打ち合いも角度の間違いはなかったし、自分が練習してきたイメージと変わらない距離感でスタートできたと思います。
第2ラウンドで右フックで相手をぐらつかせた時、早いラウンドでの決着を予想しましたか?
(井上尚弥)
あの時点では正直早い段階で終わるかなと思いましたが、ドネアにもらった左フックで全てが壊れましたね。
あのパンチでまぶたの上を切ってしまうわけですが、切ったときの感じは?
(井上尚弥)
正直カットしたことには何の問題もなかったんですけど、眼球が少しダメージを受けて、ずっと試合中ぼやけていてドネアが2人いるみたいな感じでしたね。仕方なく左を使ったポイントアウトに徹する作戦に切り替えるしかなかったですね。1ラウンドの出来が良すぎたために、油断ではないですが、若干の気持ちの余裕ができたのかなと。でもあの左フックはボディに来ると思っていたのが、顔面に飛んできたので、そこはドネアのうまさかなと。

相手にどう伝わっていたかわかりませんが、右目のダメージは隠し通せたのではないかと。もし相手に気づかれていたら、そこから一気にもっていかれていたでしょう。そこは自分が冷静に作戦を実行できたと思います。
右目が見えにくい中で右ストレートを決めましたが?
(井上尚弥)
目が見えにくかったので、自分から踏み込んで出すよりも、相手が入ってくるところに合せる右ストレートしかなかったですね。右目が見えにくくて右のパンチの的中率も下がりますし、ドネアは出してくる右へ左のカウンタを狙っていましたから、そこは冷静にできたと思います。
8,9ラウンドあたりは再度出血しはじめてパンチをもらうようなってきましたが、焦りとかはありましたか?
(井上尚弥)
逆に右目が流血で見えなくなってきたほうが都合がよかったですね。ぼやけて見えないんで、右のグローブで隠す必要がなくなりましたので。そこは反対にラッキーだったなという気持ちで試合をしていましたね。
ドネアに9ラウンドに受けた右ストレートは?
(井上尚弥)
正直あれは効きましたね。それを持ち堪えた理由の1つは息子の存在ですね。あのバチンと打たれた時に一瞬息子の顔がよぎりましたね。こんなことは初めての経験だったんですが、やはり家族の存在の大きさを実感しました。
9ラウンド終わって、ジャッジペーパーを見るとかなり点数がかなり接近していますが、その時点の考えは?
(井上尚弥)
体(目)の回復を優先するため、7,8,9ラウンドは少し捨てました。それまでのジャッジで貯金があると考えていたので、残り3ラウンドを取りに行こうと。10ラウンドで挽回できましたし、11ラウンドはダウンも取れたし。でも判定ではかなり接近した試合になるなと。
11ラウンドのダウンを奪ったことについては?
(井上尚弥)
幻の10カウント?(笑)
でもダウン取れたので、余裕を持って12ラウンドを迎えられたのでよかったです。お互いに疲れもあったし、左フックの反応を見てもゆるくなってきていたので、タイミングを図ってボディに打ちました。
残り3ラウンドでのファンの歓声も後押しした?
(井上尚弥)
むしろ自分から促して歓声をもらうようにしましたね。ここまで競った試合は初めてなので、ファンの方の歓声は後押しになりましたし、大切さを実感しましたね。
12ラウンド終わって、お互いを労うシーンもありましたが?
(井上尚弥)
あれがボクシングの醍醐味かなと。ドネアのことは尊敬していましたし、試合が終われば称え合うのは当然ですね。
真吾トレーナーへ。一夜明け試合を振り返ってみていかがですか。
(井上真吾トレーナー)
出足はすごく良かったんですが、あの2ラウンド目のダメージが全てでしたね。今まで練習でやってきたことができなくなって、庇いながら誤魔化しながらやるしかなかったですからね。その中でもパニックにならずにポイントアウトの作戦に移れたのは冷静にやれたなと評価します。
9ラウンド終わった後は。
(井上真吾トレーナー)
傷口が広がらなければいいなと。ベテランの選手はそこをついてきますからね。最後の3ラウンドはスタミナをまだ残していましたけど、倒しにいっているのは、まあすごいなと。
会長へ。会長も現役時代世界チャンピオンとして死闘を繰り広げてきた経験がおありですが、昨日の試合については?
(大橋会長)
初回の打ち合いの展開を見て、ああこれは2,3ラウンドくらいで終わると確信したんですが、2ラウンドに目を切って状況が一気に変わってしまいましたね。

そこからお互いのパンチの応酬で手を握る展開になりました。そのあと効いたパンチを貰って危なかったんですけど、よくそこから逆に盛り返した展開にしたなと。いつも言うように尚弥の一番の良さであるメンタルの強さが出たなと。それまで言われてきた打たれ弱いなどという風評もあったのを昨日の試合でタフなことを証明しましたね。

あの幻の10カウントの後最終ラウンドは、あまり打ち合ってほしくなかったんですけど、そんな思いも関係なくフルスイングで打ち合うのは、怖さもあった反面、感動的でもありましたね。

ドネアも11ラウンドでギブアップすると思っていたんですけど、12ラウンドも出てきて闘志を見せてきて、ドネアがカウンタの罠で待っているところも関係なく打ち込んでいくのは、すごかったですね。今回12ラウンドの経験は、これからの試合に生きてきて、さらに強くなることを確信しています。
尚弥選手へ。打たれ強さを証明できましたね?
(井上尚弥)
自分の中ではわかっていることですし、まああんなもんだなという感じですかね。試合を通して証明できたのは良かったのかなと。
会長もおっしゃっていましたが、感動的な試合ができたことについては?
(井上尚弥)
感動したという声もいただいていますが、それは相手がドネアだったからで、ドネアでなかったら、ここまで感動的なドラマにはならなかったので、彼には感謝したいですね。
次の段階にステップアップしたという実感は?
(井上尚弥)
自分はまだバンタム級に留まっていたいですね。試合をしたい選手も残っていますし。いずれスーパーバンタム級が適正体重と思った時に陣営と相談して上げたいですね。
ボクサーとして、1人の人間としての成長を感じますか?
(井上尚弥)
そうですね、この試合を通して今まで以上に感じることが多くありましたし、(人生においても)勉強になりました。
今やりたいことは?
(井上尚弥)
う〜ん、そうですね。家族とゆっくりして普通の生活がしたいです。
トーナメント期間中の家族の支えについては?
(井上尚弥)
先程言ったように9ラウンドのピンチに耐えられたのは家族の存在だったし、どれだけ支えられていたのか実感しました。子供が生まれて、やはり負けた姿は見せたくないですし、いつまでも強い父でいたいです。
階級をあげれば、リゴンドーやロマチェンコといった強豪の選手がいる中で、今後の試合の視野については?
(井上尚弥)
自分のパフォーマンスを発揮できる階級であればやりたいですが、適正なウエートなければ、それは望んでいないです。
バンタム級でもまだ強い選手も残っていますが?
(井上尚弥)
希望としてはウバーリとやりたいです。拓真のかたきを討ちたいですね。

バンタム級もあと何試合できるかわからないですけど、最強を目指します。
ファンの方へ一言。
(井上尚弥)
会場では2万人を超える方がいらっしゃって、自分としても初めてピンチとなることを経験したのですが、ファンの方の声援の後押しが力になりました。これからも頑張って試合をしますので、引き続き、ご声援の程よろしくお願いいたします。
リングから見た景色はどうでした。
(井上尚弥)
WBSS優勝という景色は、2万人のお客さんがいらっしゃって、それはもう素晴らしかったですね。でも拓真と一緒に勝ちたかったんで、複雑な気持ちです。
早く終る試合が多かったですが、今回はフルランドになりました。どう感じていますか?
(井上尚弥)
自分の中では充実した試合でしたが、全てを出せたかと言うとそうではないですね。映像を見返しても、1ラウンドの状態を続けたかったのですが、2ラウンドでのアクシデントで作戦変更を余儀なくされることになって。まあその作戦変更を冷静に判断できて、自分としてはハラハラして楽しめましたが、もっと早く技術戦に持ち込んでいければなと、ちょっと心残りですね。
11ラウンドのダウンシーンは、試合の流れの中で自然に出たものなのか?
(井上尚弥)
いや。あれは完全に狙っていました。
ピンチの場面は楽しめて、ボクサーになれたと言っていましたが?
(井上尚弥)
陣営としてはハラハラしたと思いますけど、これがボクシングだと。殴り合ってなんぼというところは自分の中にはあるので。